The night dream of fairy【気象系BL
第12章 無償の愛
それから、俺は光一と一緒に暮らすようになった。
昼間は風間君の病院に行って…
夜は、ここへ帰ってきた。
幸せだった…。
光一と一緒に居ることで、少しずつだけど
慧の事を忘れられるような気がしていた…
だけど……
やっぱり駄目だった…。
満月の夜になると…
夢の中で、あの日の慧の姿が
何度も…何度も…
蘇る。
俺の頭の中から、
慧の存在を消す事なんて出来なかった…。
どうしたら、記憶の中から
慧の事を忘れることが出来るんだろう…。
真剣に悩んでいたら…
紫の妖精の事を思い出した。
光一に頼んで、
潤に記憶を消してもらいたいとお願いしたんだ。
でも、潤は消してはくれなかった。
俺は、どうしていいか
正直解らなくなってしまった。
また、精神的にも 追い詰められて…
俺は、彷徨うように森へ入っていった。
その時だった…
偶然、知り合いの狸に逢った。
そいつは俺の顔を見るなり
泥を引っ掛けてきた。
「お前ら妖精は悪魔だ!!!」
最初は、こいつが何を言ってるか
全く解らなかった…
狸は、牙を剥き
「妖精のせいで、俺の大切な奴が二匹も死んだ!!!
絶対に許さない!!!!」
俺は、何度も頭を下げて
そいつが、何でそんなに怒っているのか…
一体何があったのか?聞いた。
狸は、全てを教えてくれた。
あの雨の日…
罠に捕まった狸は人間の手で殺された。
そして、あの満月の夜
彼は妖精の泣き声を聞いたそうだ…。
小さな動物だった
友達のリスも、突然動けなくなり
運が悪く、車に引かれてしまった。
彼は体が大きかったから 何事も無かったらしい。
その時俺は、はじめて妖精の泣き声の事を知った。