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The night dream of fairy【気象系BL

第12章 無償の愛


三人は妖精の専用の入口より

ビルの中に入っていった。

そこは、真っ暗く長い廊下があった。


和也は夢の中で見た、黒い部屋を思い出した。


夢の中で智は、膝を抱えて泣いていた。


「かじゅ…助けて…ここから出して…」

涙を流しながら、訴えてきたその姿が

暗い廊下の片隅で、幻のように 和也の目には見えていた。

立ち止まり智の幻を見つめた・・・・

「カズ・・・・」

「智・・」

和也の耳に智の声が聞こえた。

「カズ?・・急にどうしたんたよ」

潤はその行動に怪訝の顔をする。

「智・・泣かないで・・」

和也は何かを感じとったのか?

智の気配を感じ取り
俯きながら自分自身を強く握りしめ震えていた。


翔はその姿を見て、

まるで、自分と智を一緒に包み込んでいるようにも見えた。

「あっ・・和也泣いているの?・・・」

突然、頬からは絶え間なく涙が流れだした。

和也の頭の中で、智の声が響いていた。

「カズ・・・

助けて・・

早く・・・ここから出して・・・

早く連れ出しよ!!!!




僕は・・もう、自分が許せないよ・・・

どこかへ行ってしまいたい・・・

消えてなくなりたい・・・

かじゅ・・・

早く・・・僕を・・」



「…智、今行きます…

私が助けてあげますから・・」

和也は突然、悲痛な叫び声をあげた。

「カズ・・・?」

潤は咄嗟に和也の肩を強く抱きしめた。


「潤・・智が泣いてる・・・」

和也は潤の腕を振り払おうとする

「・・・・カズ」

潤の問いかけに、ピタッと動きが止まり
潤の顔を見た。

「潤には聞こえないの?

智の悲痛な叫び声が……」

「………」


和也は暗い廊下の先を見つめ

「ほら、智の声が聞こえる…」

「かじゅ・・・

ごめんね・・・


僕はもう、疲れちゃった・・・



僕は・・僕は・・・」

和也は急に立ち上がり、潤を振り払うと

誰もいない空間に向かって

「智!!!!

ダメだよ!私が行くまで待って!!!!


私が・・
智の苦しみを取り除いてあげるから・・・

それまで、早まらないで・・・」



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