The night dream of fairy【気象系BL
第12章 無償の愛
(潤の過去)
そう…あれは何年前だったかなぁ~
今でも忘れない
あいつの瞳は
光を失っていた。
自分の隣で
いつも心から愛をくれる奴が
居てくれる事に、全く気づく様子もなく
ただ、まっすぐ俺だけを見つめていた。
そいつは俺に・・・
「お願い…
記憶を消して…
俺はもう疲れた
あいつの事を…
弟の事を忘れたくても…
忘れられないんだ!!!
俺はあの日……
なんで?
あの場所に行こうと 弟を誘ったんだろう?
なんで?
満月を見に行きたいって言ったんだろう?
俺が言わなければ、あいつは死なずに済んだのに…
俺が殺したも同然だ…
俺が…」
あいつの胸の中にある
悲痛な叫びを聞いて
何も答えることが出来なかった。
そいつは、目の前で肩を震わせて
「何で?
あの時…
落ちてきた岩は…
弟に向かって飛んでいったのだろう?
俺の方に飛んでくればよかった。
そうすれば、俺が死ねたのに…
弟は死なずに済んだのに・・・」
大粒の涙を幾重にも流し泣いていた。
俺は、隣で肩を 抱き寄せ
心配そうに、様子を伺っている奴と目が合った。
その、表情はとても切なそうなだった。
でもそいつは、
やっぱり隣を気にすることなく
俺に、泣きながら懇願してきた。
「自分の最愛の人を 目の前で事故で失い
生きる希望なんてない…
この記憶がある限り…
前を向けない…
すべて忘れてしまいたい…」
自分の思いを訴えながらも、
ふとした瞬間、弟との事を思いだしては
泣き、そして突然笑う
そんな状態を繰り返していたんだ。
俺は、その姿を見ていると
弟の記憶を全て消してしまう事が
こいつの為になるのか?
幸せだった記憶は
生きる希望になるんじゃないか?
正直な話…
どうしていいか解らなくなった。
俺はふと、窓から空を見上げたると
雲が妖精界に居る、双子の顔に見えたんだ…。
そして、この写真をあいつに見せてやったんだ…。