The night dream of fairy【気象系BL
第12章 無償の愛
日が暮れた頃には、和也の傷も治り
体力も回復していた。
二人は、高層ビルの前までやってきた。
「翔兄、大きいビルですね!」
和也は、ビルを見上げていた。
「どうやって中にはいるんですか?」
頭を掻きながら、翔もビルを見上げた。
「さて、どうするかなぁ~?
俺もそこまで考えてなかったよ…
困ったよなぁ~」
そんな翔の姿をみて、和也はクスクスと笑った。
「翔兄らしいですね。
さて、どうしたらいいでしょうかね…」
考え込んでいると
二人に近づいてくる黒い影が…
翔は、その気配に気が付き
和也を自分の後ろに隠した。
そして、ピアスを外そうと耳に手をかけたとき…
「待っていたよ。」
突然、暗闇から出で来たのは潤だった。
翔は、すぐに駆け寄ると
「潤!!久しぶりだなぁ・・
相変わらず濃い顔だなぁ~」
「うるさいよ!!」
潤はニコニコ笑いながら、翔と再会を喜んでいた。
和也は…
そんな二人の姿を遠巻きから見ていた。
潤は和也に気づくとゆっくりと近づき
抱きしめた。
「カズ…本当に今までごめん・・
お前には、辛い思いを沢山させちゃったなぁ・・」
そして、顔を覗き込み
「智は大丈夫だよ
今は、自分の部屋で寝ている。」
「ホントですか?
智は無事なんですね…
よかったぁ~」
潤は、翔の所まで連れて行き
「俺は、あれから記憶は消してない。
だから、ちゃんと二人の事は覚えているはずだ。」
再びビルを見上げた。
「さぁ案内するから
智を迎えにいってやってくれ!!」
和也は、潤の背中をそっと触ると
「潤…ありがとう!!
あなたも迎えに来たんですよ!
一緒に帰りましょう!!」
潤は俯き、顔を左右に振った。
「俺はいいよ…
智だけ連れて帰ってやってくれ…」
翔はそんな潤の姿を見てポケットから写真を取り出した。
「潤!これ‥お前の大切な写真だろ?」
翔はニッコリ笑う
潤は写真を見ると
「ああ、俺の宝物だよ。
どんなに辛くても、
この写真を見て頑張ってきた。
いつかまた、みんなの所に帰りたいと思っていた…
でも…」
翔は潤が言い終わらないうちに
手を取り写真を渡した。
「…大事な物なんだろ?
絶対手放しちゃダメだ…
すべて終わったら、皆で一緒に妖精界に帰ろう…。」