The night dream of fairy【気象系BL
第12章 無償の愛
和也は、その写真を見て
悲しい表情になった。
「こんな古い写真を
大切に持っていたんですね…」
写真は、大人になったばかりの翔と
まだ生まれたばかりの双子と
その隣で嬉しそうに
和也に抱き着いて微笑んでいる
潤だったが…
潤の顔は、黒く塗り潰されていた。
「私は小さかったから、
全然覚えていないけど…
兄さんも智も本当にいい笑顔ですね。」
和也は写真の潤の顔に触れると
「潤は、ずっと自分を責めているんですね・・
自分の存在は、私達兄弟にはふさわしくないって
思っているんですね…」
翔は写真を覗き込み
「潤はマジメな奴だから・・
自分がやっていることが
例え智の為と理解しながらも
後悔しては、苦しんでいるだろうなぁ~」
「そうですね・・」
「和也・・・
俺はこの頃が一番幸せだったと思う・・
やっぱり、誰が欠けてもダメなんだよ・・」
「そうですね」
二人は顔を見合わせてくすくす笑った。
「翔兄、潤の心もこの頃のように
幸せで満たしてあげましようね」
翔は嬉しそうに微笑んだ。
「和也、その写真の裏側を見てごらん」
「裏側?あっこれって…」
そこには、まだ真新しい字で、ビルの名前があった。
「そうだよ!
多分そこに二人はいる。」
和也は写真を大切に抱えると
「智は無事ですよね!
あいつに酷い事なんか、されていませんね」
「和也・・大丈夫だよ!!
俺は、あの黒い妖精は本当は
悪い奴じゃないと思うんだ!!」
翔の言葉に和也はビックリして顔を見上げた。
「そんな事ない!!!!
あいつは悪い奴です!!
だって…私達家族をバラバラにして…」
悲しそうな顔をして小さな声で
「雅紀まで・・・」
翔は和也の頭を撫でてやった。
「和也、お前も薄々気が付いているんじゃないか?
本当の真実が・・・・」
和也はその言葉に再び翔の顔を見た。
そして、ゆっくりと頷くと…
「そうですね・・・
また、確信は持てませんが
なんとなく…すべてが仕組まれていたような
そんな気がします。」
翔は頷き再び写真を見た。
翔「すべての真実はここにある!!
和也、迎えに行こう!!!」
和「はい!」