The night dream of fairy【気象系BL
第12章 無償の愛
「・・・・潤!
そんな事よりお前に、
智はしばらく外出禁止だと
伝えたよなぁ~」
光一は強い目つきで睨みつける。
「あいつが出掛けようとした時に、
何で止めなかった!!!」
その言葉に、全てを見透かされると感じ
嘘は通じないと悟った潤は
「すいませんでした。」
頭を下げ、素直に話はじめた。
「あの事件以降、
智の様子がおかしくて・・・
何をしていても・・・・
何を言っても上の空だったから・・・・
ずっと部屋の中に居るよりも、
外の空気を吸う方が
気分転換になると
思ったんだよ・・・」
光一はその話を聞いて
「ふんっ!」鼻で笑うと薄笑いをして
「・・・智は、光の奴らの記憶を取り戻しているぞ!」
「記憶を・・・」
潤は動揺を隠せなかった。
「そうだ!!潤・・・
お前の優しさが仇になったなぁ~
あいつは、また光と闇の狭間で苦しむ事になるぞ!」
光一はあざ笑うように責め立てる。
「そんなぁ~」
潤は唖然とその場に立ち尽くす。
「まぁ~記憶は、
すべてではないだろうが・・
でも、確実に一部は戻りかけている」
「なんでそんな事に・・・」
「さぁ、なぁ〜
俺が智を見つけた時は、
もう昔の姿に戻っていた…
あの黄色の妖精が抱きしめたから
記憶が戻ってしまったようにもみえたが…」
「やっぱり双子の絆が?」
「さぁ~???俺にもよく解らないが…」
光一は、潤の頭を軽くポンポンと叩くと
耳元でつぶやいた。
「潤…
今度は・・智の記憶も・・
感情も・・・全部消してしまえ…」
潤は顔を上げ目を大きく見開き、
光一の顔を凝視した
「・・・そんなことできない!!!
だって・・
それじゃ、まるで感情の無い人形じゃないか…
俺は、智をそんな姿なんかには
させられない!!!!」
感情を爆発してくる潤を無視して
光一は冷静に耳元でささやいた。
「潤よく考えてみろ
確かに、感情がなくなってしまったら
ただの人形かもしれないが
でも、余分な感情が無くなれば
偽りの声に惑わされて、
苦しむ姿を見なくて済む」
潤の瞳を強く見つめ、さらに呟いた。
「俺とお前の力を使って
理想の智を作り直せばいいじゃないか・・
そう思うだろ? ・・・潤・・・」