第2章 後編
慌てたように○○はシルビアを追いかける。
「ねえ!シルビア」
「なによ」
○○はシルビアの片手を掴むと、
「たまにはシルビアも相手してよ」
「…はぁ?」
――無邪気な目で彼を見上げた。
○○は、小脇に抱えていた薪束を一旦地面に置くと、得意げに木の枝を構えた。
「私結構、強くなったような気がするの。」
――確かに格好だけはそれなりに様になってはいるが。
シルビアは、やれやれ、と肩をすくめる。
「気のせいよ。全然、まだまだだわ」
○○が置いた束を拾い上げて、再びさっさと歩きだした。
――自分でも多少大人げない言い草だとは思ったが。
「シルビア、もしかして怖いの?」
不意に、背後から○○が挑発的に呼びかけた。
「…なんですって」
ゆっくりと振り返るシルビア。
○○は一瞬身じろいだが、すぐに小さな胸をそびやかすように、
「…私が、思ったより強くなったから?」
精一杯強がって言った。
――この子は。
シルビアは一度深く息を吸い、そして吐いた。
――人の気も知らないで。
「…いいわ。」
と、抱えていた薪束の中から、手ごろな長さの一本を取り出すと、
「そこまで言うなら、相手してあげるわよ。」
――愛用の片手剣のようにすらりと構えた。
どこからでもかかってきなさい、と剣先で煽ると、
○○は
「…馬鹿にしないで」
さっと頬に朱を奔らせる。