第1章 体育祭
保健室の先生に応急処置をしてもらい、歩けないのでしばらく本部の隅っこに待機することに。
「ゾロ、悪いなここまで運んでもらって」
「いや、気にすんな」
団Tシャツから見える首や腕の筋肉がかっこいい、と思えた私はほんとうにどうにかなってしまったのか。なんだかドキドキする旨を抑える。
「なんで私を助けたんだ?敵同士なのに…」
半ズボンについてる砂を落としながら聞く。すぐに返事がなく、何黙ってるんだとゾロのほうを見る。
「…好きだからだ」
「は?」
ゾロは口元を抑えてそっぽを向いている。今まで感じなかった思いがこみ上げてきて、私もゾロとは反対のほうを向いた。
「え、待って、ごめん、どういうこと?」
「何度も言わせんな。お前が好きだからだ」
いや、ド直球すぎる。恥ずかしいわ。そんな顔すんなよ、もうまともに見れねェじゃん。
「お前がグル眉と話してる時とか、周りにちやほやされてるの見てるとくそむかつくんだよ。だから…あー、くそ」
ゾロは頭をかいて座っている私に目線を合わせる。そして私の頭をやさしくポンポンとたたく。
「うまく言えねぇ、お前が好きってことだ」
「…んだそれ」
うれしすぎて、うつむいてにやけてしまう。今すぐゾロに抱きつきたい思いを抑え込んで、しっかりとゾロのほうを向く。
「ありがとな…、私も好きだ、ゾロ」