第5章 気づいたら
「あー楽しかったー!!」
気づけばあたりはオレンジ色に染まっていた。たくさん買った洋服は、半分ゾロに持たせている。ゾロも満更でもない顔だ。
「ありがとな、今日は一日荷物持ちしてもらって」
「構わん」
そういって私の頭をポンポンと叩く。いつもチビだとバカにするときの態度だ。
「いつでも俺を使え」
見上げるゾロの顔が少しだけ綻んだ。その顔にドキッとする。それは反則だ…。私はふい、と顔をそらした。
「おら、帰るぞ」
サニー号に…と私とゾロは歩き出した。今日一日、デートしてみてわかった。私はゾロが好きだ。
「ゾロ」
「なんだ?」
「また買い物しような!」
そんなことを話しながら、サニー号に戻る。すると、待ち構えていたのはナミだった。
「あら?ずいぶんと仲いいわね!どう、付き合ったの?」
「あァ」
ゾロが頷いた。待って、え…?
「…は?」
「そうなの?やっとなのね」
おめでとう、とナミが私を抱きしめるが、状況が把握できない。いつ付き合ったのかわからない。
「え、付き合った…?」
「お前はもう俺のだろ?」
「はぁ…?」
「まぁ、いいじゃない!サンジ君、今日は宴よ!!」
ナミは急いでキッチンへと向かった。残されたゾロと私は顔を見合わせた。
「なんだ、まァ…」
ガシガシと頭をかくゾロが私の方をしっかりとみる。
「よろしくな」
ゾロは最高の笑顔で私を見た。そんな顔…。めったに見ることない笑顔で私も笑う。
「こちらこそ、な」
今夜のサニー号はとってもにぎやかだった。