第1章 体育祭
『ただいまの記録、黄団367点、緑団365点…』
「待って、次って400mだよな?」
「うん、それで緑に1位持ってかれたら、確実に負けるね…」
負けられねぇ…。グラウンドに入場する前に、靴紐をしっかりと結びなおす。
「リオンちゃんなら大丈夫だよ!」
「アンカーまでに差をつけられたらおしまいだ。私が巻き返さねぇと!」
じゃあ行ってくる、とアメに手を振ってグラウンドに足を運んだ。
400mは男女に分かれてて、私は黄団の女子チームアンカー。周りは陸上部ばかりで、もちろん強敵。でもここで負けるわけにはいかない。
「いけー!黄色、がんばれ!!」
「ぬかせー!」
歓声が聞こえる中、黄色はいい出だしだった。ほとんど差が無く、その中で緑と黄が争いっているような状況だった。
もうすぐ私の出番…、仲間が私に向かってバトンを構えて走ってくる。
「リオン、よろしく!!」
「任せろ!」
小走りでバトンを受け取り走りだす。緑も同じタイミングでバトンを受け取り走りだした。
ここで1位争いが始まる。ラストは1周だ。さっき100m走ったせいで、かなり足に負担をかけることになっている。疲れたなんて言ってる場合じゃない、もう限界突破でひたすら相手に食らいつく。ゴールテープが目の前…。
もう前のめりになって先にゴールテープを切ろうとした、その瞬間…。ゴールした瞬間に足がつまずいて前のほうに転んでしまった。