第2章 嫉妬
「ゾロー」
キッチンを出た後、ゾロの名前を呼ぶ。いつもならここだと返事をしてくれるが、今日は返してくれない。
「あれ…?」
どこだろう、とあたりを見渡すがどこにもいないのでおそらくトレーニングルームだろうと思い、長い梯子を上っていく。
「ゾロー?」
顔をひょこりと出すと、ゾロがこちらを無視して重いダンベルを上げ下げしていた。
「なぁ、ちょっとこれ食べてくれよ」
「…」
ゾロはリオンの言葉を無視し、トレーニングを続けていた。
「おい、無視すんな」
「…てめェはクソコックんところの方が楽しいんだろ」
「……は?」
リオンの持っていた、チョコの入った小さな紙袋をはたいた。
「ちょ、なにすん…」
「これも、あいつのために作った余りなんだろ?」
「そんなわけ…!」
「楽しそうにイチャイチャ作ってたじゃねェか」
リオンは捨てられた紙袋を見つめた。サンジと作るのが楽しいってわけじゃない、ゾロのことを思って作るのが楽しいんだと言いたかったが、言葉にすると涙があふれてきそうで言えずにした唇をかんだ。
「…んなもん到底食えねぇよ」
吐き捨てるように言ってこちらに背を向ける。その言葉にリオンは我慢ができず、涙があふれ出てきた。