第1章 内緒と内密
部屋に着くと、リヴァイ兵長は食堂から持ってきたであろうお酒をどこからともなく取り出した。
「!!…いつの間に持ってきたんですか?」
「あいつ等といるとゆっくり酒も飲めないからな。…飲み直しだ。付き合え。」
「ですが…。」
「命令だ。」
「…はい…。」
その言葉に対する拒否権は到底なかった。
お酒が入っていることもあり、私達は有意義な時間を過ごしていた。
(良かった…。兵長と二人きりだからもっと緊張して喋れないと思ってたけど…凄く楽しい。)
いつもと違う環境に、私のお酒のペースも自然に上がっていった。
しばらくするとお酒を飲み続けたこともあり、睡魔に襲われてくる。
(…少し眠くなってきっちゃった…。)
「おい…お前好きな奴はいるのか?」
「!!!ごほっ…兵長!?いきなりどうしたんですか!?」
リヴァイ兵長の突然の質問に私は咳き込んだ。
「特に理由はない…。もしそういう奴がいるなら、このご時世だ…悔いの無いように生きた方がいい。」
「兵長…。それはそうですが…。」
私は何と答えていいか分からず口ごもった。
「…おい、質問に答えろ。どうなんだ。」
「…えっと…好きな人というか…気になる人というか…そんな人はいるようないないような…。」
「何だその曖昧な答えは…。」
リヴァイ兵長は呆れたように言った。
「じゃあ逆に、兵長はそういう人はいるんですか!?」
「……。」
私の問いにリヴァイ兵長は口を閉ざし、先程までの空気は
一変して変わってしまった。
(どうしよ…。変なこと聞いて兵長の機嫌悪くさせっちゃったかな…。このままだと気まずい雰囲気になりそうだし、そろそろ帰ろうかな…。)
「…兵長、すみません…私そろそろ帰った方がいいですね。失礼します。」
リヴァイ兵長に挨拶をし、部屋を出ようとする。
「…待て。」
「!!」
突然腕を捕まれ、ベッドに押し倒される。
「兵長!?」
「…お前は何も分かっていない…。」
リヴァイ兵長の声が耳元でやけに大きく聞こえた。
(何も分かってないって何!?…この状況って…兵長…。)
(……。)