第2章 疑惑と思惑
「兵長、ちょっと待っててくださいね。」
「……?」
食堂の前まで来ると足を止めるように言われる。
(…中で何かあるのか?)
「…兵長、中に入りましょう!」
「…あぁ…。」
ミユの行動と共に中に入るように促される。
その言葉に俺は疑惑を抱きながら扉を開けた。
扉を開けるとそこには、俺の祝いの旗と食事が施されていた。
俺は柄にもなく、一瞬驚きを隠せなかった。
「…何だこれは…。」
「兵長ビックリしましたか?今日は兵長のお誕生日ですよ。」
(…誕生日。そうか…今日は俺の誕生日か…。そんなこと忘れていたな。)
「申し訳ありません!!兵長に黙っている形になってしまい…。でも兵長を驚かせたくて…。」
(…ここ数日様子がおかしかったのは、このせいか…。)
視線を向けるとバツの悪そうな顔で視線を反らされる。
「リヴァイ…時にはこういう息抜きも必要だろ。」
「…エルヴィン…まぁそうだが…。」
(エルヴィンがこんなこと言うのも珍しいな…。こいつらの疑いも晴れたことだ。…束の間の休息…か。)
「…今日は珍しく酒もあるしな…たまにはこういうのも悪くない…。今日は飲むか。」
その一言によって誕生日という名の宴が始まっていった。
(兵長…喜んでもらえましたか?)
(あぁ…。)
(とか言ってー!実は泣きそうなくらい嬉しいくせに!!)
(…削がれたいか、クソ眼鏡。)