第1章 好きです。
頭が混乱する。
今日は色んなことが一気に起こって大変だ。
「第5分隊って聞いたことないですけど...」
「第5分隊はメインでは戦わないからね、知らないのも無理はないよ。
私達の仕事は後方支援。
壁外でガスが切れたりとか、怪我をしたりとか。
そういう緊急事態に見舞われた時に活躍する隊なの。
たまに討伐にも参加するけど」
ただただ驚くばかりだ。
「急にこんなこと言っても混乱するだけだよね。
でも、慣れてね。
それと紅茶、冷める前に飲んでくれたら嬉しいな」
「いただきます!」
キョウカさんが注いでくださった紅茶を口に運ぶ。
甘みとレモンの風味が混ざり合い、とても美味しい。
「美味いです、これ!」
「ふふ、良かった」
ニコニコと笑みを浮かべるキョウカさん。
その様子を見て、やっぱり好きだと自覚する。
「おかわり欲しかったら言ってね?
リヴァイも」
「はい!」
「おい、キョウ、ここ...」
「ん?」
「あ.....」
今まで俺の目の前で話してくれていたキョウカさんが、兵長に呼ばれてそっちに行ってしまう。
なんとなく寂しい...。
「そう、この書類は前回の壁外調査報告書の訂正箇所ね。
把握出来たらサインしてくれれば良い」
「あぁ、分かった」
兵長の手元を覗くキョウカさん。
兵長との距離が近い。
もう少しで身体が触れてしまうぐらいに。