第7章 ジュエル
「よし、仕事終わり」
ぐーッと伸びをする。
部屋を見回し、可愛い後輩の姿を目に止める。
「寝ちゃってる」
私の可愛い後輩はソファーに背中を預け、スヤスヤと寝息を立てている。
「可愛い...おやすみ」
自分の膝に掛けていたブランケットをエレンの身体に掛けると、髪を撫でた。
サラサラとした髪の手触りと、子犬のような反応がお気に入り。
エレンは今期入団した、巨人化出来る期待の新兵。
会って間もない私のことを好きだと言ってくれた。
誰かに好きなんて言われたのは彼以来だったから、少しドキッとした。
真っ直ぐ目を見つめられ、その曇のない瞳から目が離せなかった。
「ん...」
軽く体勢を変え、ブランケットがズレる。
そのズレを直そうと手を伸ばせば、身体を抱き込まれた。
「エレン...?」
起きてる...?
呼び掛けてみても反応はない。
寝ぼけてるのかな...。
ガッチリと腕を回され、逃げ出すことが出来ない。
ドクドクと心臓が早くなる。
違う、これは急なことに驚いているだけ。
だってエレンはただの後輩で...。
そりゃ他の人と比べると気に入ってはいるけど、でも...。
と、思考がまとまらない。
柄にもなく顔に熱が集まる。
どうしよう...。
こんなとこ、誰にも...リヴァイには絶対に見せられない。