第5章 前夜
「エレン?
顔怖いよ?どうかしたの?」
キョウカさんが顔を覗き込む。
嬉しいけど、嬉しくねぇ。
理性がぶっ壊れそうになる...!
「いえ、別に...」
「...もしかしてリヴァイとシたの、まだ気にしてる?」
「っ...」
図星過ぎて、肩が跳ねる。
誤魔化せねぇ。
「そう。
お風呂、そこの部屋だから先に使って?
気になるなら教えてあげようか?お風呂のあとで色々」
「.....いえ。
ほんとはめちゃくちゃ知りたいし聞きたいですけど、壁外調査が終わってからにします。
その約束でしたから。
その代わり無事に帰って来たら、ちゃんと全部の質問に答えてくださいね」
「分かった、約束する」
ニコッと笑う。
相変わらず可愛い...!
「じゃあ風呂借ります」
「どーぞ。
あ、それとエレン」
風呂場へ行こうとすると、後ろから声を掛けられた。
「リヴァイとはこの部屋でシてないから。
そのことも含め、ちゃんと説明させてね。
変な誤解されたままじゃ嫌だから。
だから必ず、生きて帰って来ること...!
良い?」
「はいっ」
キョウカさんの言葉は、正直な話他の誰の言葉よりも胸に刺さる。
...心底惚れてんだな、俺は。
ベタ惚れ過ぎる自分に苦笑を浮かべながら、風呂場へと向かった。