第5章 前夜
会議...というか団長からの説明が終わると、隊長達は早々に退出していく。
隊長や先輩達が食堂をあとにすると、皆がドッと息を吐き出した。
「あ、悪い。
俺兵長のところに戻らなきゃ…」
色々と話しかけてくれる皆と別れ、兵長の執務室へと向かう。
さっきの...わざわざ人を集めてする必要があったのか?
特別重要という訳でもなさそうだし...。
「どうなってるんだ...?」
兵長の執務室の数歩手前。
俺はキョウカさんの執務室の扉の前で脚を止めた。
少しぐらい寄り道したって良いだろ。
ノックをすると、中から望んだ声が聞こえる。
「はーい?」
「あ、エレンです。
入っても良いでしょうか?」
「良いよ。
鍵は開いてるから、そのまま入って?」
「はい、失礼します」
初めて入るキョウカさんの執務室。
兵長と同様余計なものなんてねぇ、殺風景な執務室だ。
「どうしたの?」
「少しお話がしたかったので...」
「私と?
お茶淹れるから好きなところに座ってね」
そう言うと給湯室に向かう。
「ありがとうございます」
近くにあったソファーの中央に下ろした。