第3章 特例
それから兵長とキョウさんは互いに口を開かず、そして紅茶にも手をつけることなく書類に向かった。
それなのに俺は黙って座っていることしか出来ねぇ。
「チッ.....思った以上にかかったな。
紅茶が冷めちまったじゃねェか」
先に書類を終えたのはリヴァイ兵長だった。
すっかり冷めきってしまった紅茶を飲み干すと、給湯室に入って行った。
キョウカさんは周りの様子なんて見えてないみたいで、黙々と書類に取り組む。
「んーっ、終わった...」
ペンを置き、書類を整えると、大きく伸びをした。
「こんな感じかな。
あれ?リヴァイは?」
「今更ですか?」
「え?」
キョトンとする。
そんな表情まで可愛い。
「ご苦労だったな」
「リヴァイもね。
ありがとう」
新しく淹れた紅茶をキョウカさんの前に置いた。
兵長が自ら紅茶を淹れるところなんて初めて見た...!
「でもなんであんなに書類で溢れてたの?
リヴァイらしくもない」
普段兵長は書類を片っ端から片づけていく。
机の上が散らからないように。
それが今日は書類で机の上が汚かった。
「ハンジがまた研究に没頭してて、その滞った書類が一気に今朝来たんだ」
「あ、そう...」
「ところでなんの話をしに来たんだ?
ここにはエレン以外誰も居ねェ、話せ。
それともエレンも部屋から追い出した方が良いか?」
お、追い出すってそんな言い方...!