第3章 特例
地下室に着くと、部屋の外で待っていて貰った。
「すみません、お待たせしました」
「大丈夫だよ。
じゃあ行こっか、時間も過ぎてるし」
「え...?」
時間が過ぎてる?
だってまだ始業の鐘は鳴ってねぇし...。
あ、そういえば起床の鐘も鳴ってねぇかも...。
「私の部屋、鐘の音が届かないようになってるの」
「はぁぁ?」
驚きのあまり敬語を忘れた。
それより...。
「じゃ、じゃあ今...」
「始業時刻は過ぎてるよ」
「まじかよ!」
「うん、マジです。
それじゃあ行こっか。
大丈夫、エレンが怒られることはないように私がなんとかするから」
「あ、タメ口ですいません...」
「気にしなくて良いよ」
と、キョウカさんは笑ってくれた。
「私少し自分の執務室寄ってからリヴァイのところ行く予定だから、先に行ってて?」
「はい!」
キョウカさんと別れ、兵長の執務室に向かう。
キョウカさんは大丈夫って言ったけど、やっぱり怒られるんだろうな...。
「し、失礼します」
恐る恐る執務室の扉を開けた。
「おい、新兵!」
「オルオさん...」
兵長じゃなく、オルオさんに声を掛けられた。
「どうしたんですか...?」
「どうしたんですか、じゃねぇだろ。
遅刻するとはいい度胸だな、新兵」
「すみま...」
「彼には始業前に無理を言って仕事をお願いしちゃったの。
だから責めないで」
キョウカさんが後ろから言う。
いつの間に来たんだ...?