第15章 審議の末に
「......さん」
誰かが呼んでる。
遠い場所から、呼び掛けている。
「キョウカさん...」
「ん...」
その声に、意識が徐々に浮上した。
「あ、起きました?
こんなとこで寝たら身体痛くなりますよ」
寝るならベッドに行きましょう、と手を差し出したエレン。
「このまま寝る...」
寝起きで頭が覚醒せず、寝返りを打って目を閉じた。
この眠気には勝てない。
「だから身体痛めますって...。
怒らないでくださいね?」
どこか遠くで聞こえた声に疑問を抱けば、ふわりと身体が浮いた。
私の記憶は、そこで完全に途切れた。
「ふぅ...」
仕事を終えて部屋に帰ると、ソファーでキョウカさんが寝ていた。
そんなとこで寝てたら身体痛めるし、風邪ひくだろ。
そう思って声を掛けた。
何度か呼び掛ければキョウカさんの目が開いた。
...と思ったのに、その目はすぐに閉じられ静かな寝息が聞こえる。
「怒らないでくださいね?」
膝裏と背中に手を回し、身体を抱き上げた。
起こさないようにゆっくりとベッドに寝かせ、布団を掛けた。
「おやすみなさい」
頭を撫で、背を向けた。