第15章 審議の末に
「......分かったわ」
昔からエルヴィンには逆らえない。
瞳の奥に宿る強い執念に怖じ気づいてしまうのだ。
「ありがとう。
日取りが決まり次第連絡しよう」
「絶対早めにね!」
ハンジが鼻息を荒くして言う。
実験出来ることが嬉しいようだ。
「分かった。
じゃあ私はそろそろ仕事に戻るね」
「あぁ」
団長室を出て、自分の執務室へ戻った。
パタンと静かに扉を締めると、息をゆっくり吐き出した。
「巨人化実験...か」
不安がない訳ではない。
誰だって未知のことは怖いし不安になるに決まってる。
その心を落ち着けようと、目を閉じた。
ハンジの作った薬なら、例え実験が失敗したとしても人体に害はないだろう。
心を落ち着けて、執務に戻った。
「流石に疲れた...」
定時で執務を切り上げ、部屋に戻るとソファーに身体を投げ出した。
最近色々なことが起きていたし、ゆっくり休めなかったのが身体に響いたのだろう。
1度沈めた身体は言うことを聞かない。
起き上がろうと思っても身体が動かない。
そして強烈な眠気に見舞われ、意識を手放した。
まだやること、あるのに...。