第14章 特例任務
「エレン、戻るぞ」
「え?は、はい」
足早に会場を出る兵長のあとに続く。
「あの、兵長?」
「開けるぞ」
声を掛ける俺を無視して扉を開けた。
「っ...」
そこにはキョウカさんに腕を拘束された、黒服の男が居た。
「どういうこと...ですか?」
「今回のパーティーは親睦会の影で依頼主を暗殺しようと企む人が居たのよ」
それが...この人...。
「まだ若いですけど」
近づき、顔を覗き込む。
顔つきは少年のそれだ。
とても暗殺出来るとは思えねぇ。
「離せよっ」
キラリと目が妖しく光り、エレンに向かって蹴りかかる。
「大人しくしないと、その脚、片方折るよ」
再び拘束し直したキョウカさんが言葉を発すれば、ビクリと少年の肩が跳ねた。
「そう、物分りは良いようね。
痛みは少ないに越したことはないでしょう?」
そう囁けば、悔しそうに唇を噛む。
キョウカさんが...別人みてぇだ。
普段の雰囲気とも、壁外での雰囲気とも違う。
異質な雰囲気。
「リヴァイ、椅子」
「あぁ」
何もない部屋の真ん中に、兵長が椅子を1つ置いた。
キョウカさんは最後の抵抗を続ける少年を容易く力で座らせると、椅子の背もたれや足と身体を紐で縛りつけた。
「......せよ」
「何?」
「殺せよっ。
どうせ殺すんだろ!?
だったら今すぐ殺せっ」
少年が叫ぶ。
その顔にわずかに恐怖の色が浮かんでいる。