第14章 特例任務
「お酒お待たせ致しました。
ワインで宜しいでしょうか?」
「あぁ、もちろんじゃ。
ありがとう」
お盆に乗せたワイングラスを差し出した。
「リヴァイ兵士長達も宜しければどうぞ」
「え?」
「あぁ、貰おう」
「兵長!?」
「大丈夫、ただの水よ。
人が多くて喉乾くでしょ?」
コソッと小声で話すキョウカさん。
「ありがとうございます」
「それと...」
すれ違いざまに兵長の耳元で囁くキョウカさん。
辛うじて聞こえた言葉は1つ。
“ 10分後 ”
その1つだけじゃ、流石になんのことか分からねぇ。
「兵長」
「黙れ」
まだ呼んだだけなのに...。
「...はい」
納得いかないながらも大人しく黙った。
キョウカさんから受け取ったグラスに口づける。
10分後ってなんのことだ...?
なんか起きんのか?
「エレン、自分の身は自分で守れよ」
「はい?」
兵長の言葉に驚いた瞬間、会場の灯りが消えた。
「え!?」
ザワザワと会場が大きくざわつく。
「「「どうなってるんだ!?」」」
数秒。
ほんの数秒の暗がりののち、灯りが点いた。
時間にしてわずか5秒程度。
「これは失礼しました。
皆様に我々調査兵団からささやかなサプライズを行う為にしばしの間灯りを消させていただきました。
上等な蒸留酒です。
良い夜を」
エルヴィン団長が声を張り、皆の注目を集めると軽く会釈をした。