第14章 特例任務
パーティーが始まり、俺達はとある貴族の人の後ろに立っている。
この人の護衛をすれば良い訳か。
「お酒をお持ち致しますか?」
「あぁ、頼むよ」
低い声で尋ねるキョウカさんの言葉に頷く、白髪の優しい顔をしたお爺さん。
調査兵団として、この人の護衛をするのが俺と兵長。
執事として密かに護衛するのがキョウカさん。
「畏まりました」
キョウカさんはすげぇ様になってる。
動きは機敏で無駄がなく、物腰が低く他の貴族の人からの評判も良さそうだ。
「すげ......」
「当然だ」
フン、と鼻を鳴らす兵長。
なんであんたが得意気なんですか。
「聞いてねェのか?」
「何をです?」
「キョウの過去」
「昔の恋人のことしか...。
結婚を控えてたそうですよね」
「そのことしか言ってねェのか、あいつは」
兵長の言葉にまた、胸の中に黒いモヤが立ち込める。
「元々キョウはある貴族の家の執事をやってたんだ」
「あ、それは少し聞きました」
「執事兼ボディーガードだったらしいぞ。
まぁ、主に護衛をやっていたそうだが」
「それがどうして調査兵団に...?
団長が声を掛けたんでしたっけ?」
「あぁ。
俺も詳しいことは知らんが、エルヴィンがスカウトして来たと聞いたことがある」
団長が...スカウト。
やっぱり凄ぇよな。