第14章 特例任務
任務に備えて万全の体調を整える為、その日の出勤は午後からだった。
キョウカさんと共に指定された場所、団長室の戸を叩く。
「失礼します」
この日は私服で出勤しろと言われた。
疑問に思ってると、兵服の痕がつかないようにだってキョウカさんが教えてくれた。
「全員、揃ったな。
では会場へ移動するとしよう」
団長のあとに続き、用意された馬車に乗り込む。
「会場についたらまず、それぞれ衣装に着替えるんだ。
その後、別行動となる。
良いな」
「問題ねェ」
「は、はい」
「エレン、そんなに緊張することないよ」
なんでそんなに平気で居られるんですか!
会場に着くと、それぞれ更衣室に入った。
更衣室で着替えを済ませると、1つの部屋に集まる。
慣れねぇ服に落ち着かず、終始服に触れる。
「エレン、似合ってる」
「キョウカさっ......え?」
後ろから声を掛けられ、振り返るとそこに居たのはいつもと全く雰囲気の違うキョウカさんだった。
髪は後ろで低く、黒いゴムでまとめられ。
黒い燕尾服に身を包み、縁の黒い眼鏡を掛けている。
「そんなに驚く?」
「そうか、エレンは初めてだったな」
団長が小さく笑う。
「私先に行くね。
エレン、緊張も程々に」
手を振り、笑うと部屋を出て行った。
「執事......大丈夫なんですか?」
「問題ねェだろ。
俺らも行くぞ」
「はい」
兵長の後ろを黙って歩く。