第13章 任務前夜
「よく料理するんですか?」
「料理って程のもんでもねェだろ。
料理はしねェ。
だが切るのは得意だ、削ぐのと感覚が似ている」
「リヴァイは器用だしね」
モグモグと頬袋を膨らませる。
そんなに欲張らなくても誰も盗らねぇって、と内心苦笑した。
「まだ飲むか?」
「作ってくれるの?」
「お前の好きそうな酒を用意しておいてやるっつっただろ。
飲むのか?飲まねェのか?」
「飲む!」
「持って来てやる」
「ありがとう」
「キョウカさん、あまり飲み過ぎないでくださいね?」
「やだ。
お酒好きだもん」
兵長の飲みかけのお酒を拝借し、口づけるキョウカさん。
「もう、二日酔いで明日の任務に差し支えても知りませんよ?」
「だいじょーぶ」
かなり酔いが回って来ているのか、フワフワとしている。
「人の酒を勝手に飲むんじゃねェ」
キョウカさんの頭を軽く叩く兵長。
「暴力反対!
グラスに歯をぶつけたらどうするの?」
「煩ェ。
キョウのセリフとは思えねェな」
フッ、と笑う。
「ケチケチしないの」
「お前が言うな。
ほら、返せ」
「あっ...」
キョウカさんの手からグラスを奪い、そのまま口づけた。
「あーっ!」
「どうした」
「兵長潔癖なんじゃないんですか!?」
「俺は潔癖じゃねェ、綺麗好きなだけだ」
「良いんじゃないかな、細かいことは」
モグモグと再びオレンジを口に運んだ。