第13章 任務前夜
「果物食べたいな。
ある?
私切って来る」
「待て」
立ち上がったキョウカさんの腕を掴む兵長。
「俺が切って来てやる。
キョウじゃあ怪我しかねねェ」
苦い顔をして、キッチンに向かった兵長。
「兵長、意外と優しいところあるんですね」
聞こえないようにコソリと呟く。
「うん、そうだよ。
まぁ皆からしたら神経質で粗暴な印象しかないか。
ああ見えても優しいよ、リヴァイは。
ただ恥ずかしいのか、あんまり表に出さないだけなんだけどね」
クスクスとおかしそうに笑う。
「今でこそ柔らかくなったんだよ。
昔はもっと尖ってたっていうか、生意気だった」
「もっと...ですか...」
「うん。
でもどれだけ経っても変わらないのが、あの目なんだよね。
強い意思の宿った目。
そういう部分ではエレンと似てるものがあると思うよ」
「俺と兵長がですか?」
「うん。
エレンの方が可愛げあるけどね」
「余計な世話だ」
キョウカさんの頭を軽くつつくと、お皿に乗った果物を机に置いた。
「オレンジ?」
「あぁ」
「ありがとう」
お皿の上に並ぶオレンジは全部形が揃っていて、綺麗だ。
俺が切る野菜とは全然違ぇ。
「ん、美味しい」
1つ口に運ぶと、口元を緩ませた。
可愛い。