第13章 任務前夜

薄くスライスされたレモンが乗るグラスを傾け、小さく1口飲み込んだ。


｢美味しい...｣


｢当たり前ェだ｣


俺が作ったんだからな、と笑う兵長。


｢フルーティーになってるから、良い意味で癖が薄まって飲みやすい｣


｢度数は変わらねェから、飲み過ぎるなよ。

まぁ、潰れても付き合って貰うがな｣


｢やけ酒でもしたい気分だった？｣


｢そうだな。

酒を浴びる程飲みてェ気分だ｣


｢まぁ、兵士長って中々ストレスの掛かる役職だからね。

リヴァイなら二日酔いにならないと思うけど、一応明日任務だからね｣


｢あぁ｣


グイッとグラスの中のお酒を一気に飲み干したキョウカさん。


｢おい、酒に強くねェんだから一気飲みはやめろ。

一気飲みは酔いやすいだろうが。

悪酔いされたら迷惑だ｣


｢んー？だいじょうぶ｣


｢...ほら見ろ、見事に酔っぱらったじゃねェか｣


はぁ、と兵長が溜め息を吐く。


｢エレン、そいつはお前が責任持って持ち帰れよ｣


｢物みたいに言わないでくださいよ｣


｢リヴァイ〜、他にお酒ないの？

いつもの｣


そう言って棚を漁る。


いつも...か。


｢そこにあるだろ｣


｢あった！

飲んで良い？｣


｢あぁ｣


可愛らしい瓶のお酒を取り出し、新しいグラスに注いだキョウカさん。


｢このお酒が1番好き｣


嬉しそうに口をつける。