第11章 噂の行方
「私が会えないって言っても、会いに来てよ...」
胸元に顔を埋め、肩を震わせる。
「っ...」
この人は強いんじゃない。
全然平気じゃないんだ。
だから弱いところを見せねぇように隠してるだけ。
ずっと笑顔の裏で泣いてたんだ。
震える肩を強く抱きしめる。
その細い肩には、多くの兵士の命と責任が乗っかってる。
「好きですよ。
どうしようもねぇぐらいに。
だからキョウカさんが兵長とキスした時、気が狂いそうでした。
キョウカさんと兵長が付き合ってるって噂を聞いた時、気分は最悪でした。
あんたが思ってる以上に俺は好きなんですよ」
その顔に手を添えて持ち上げる。
涙の溢れる瞳を見つめて、何度目かの告白をした。
「その涙は、俺が溢れさせた涙ですよね?」
「他に誰が居るのよ」
「俺...自惚れても良いですか…?」
嫉妬や寂しさから溢れる涙。
これはもう、期待するだろ。
「...良いんじゃないの」
ぷいっと目を逸らした。
「素直じゃないですね」
クスリと笑うと、目元の涙を指で拭い、薄く色づいた唇にキスをした。
「俺と、付き合ってください」
「......うん」
「マジです?」
「うん」
「夢みてぇ...。
絶対大事にします」
「現実だよ。
...その...」
言いにくそうに口を開く。
「エレンの望む大きさの好きじゃないかもしれないけど、その程度かって思うかもしれないけど...。
......好きだから」
ポツリポツリと呟いた。