第11章 噂の行方
なんだったんだ、本当。
首を傾げると、昼休憩の時間が終わりに近いことを思い出した。
「やべぇ」
急いで残りのメシをかき込み、執務室に戻る。
仕事中も、さっきのリザさんの言葉にが気になっていた。
翌日、翌々日と日が過ぎる度にキョウカさんと兵長に関する噂がどんどん広まってく。
身体で誘惑しただの、二股してるだの、全部キョウカさんが悪く言われてる。
そんなのばっかりだ。
「あの、キョウカさん...」
いくら強くて大人だって言っても、傷ついてるんじゃねぇのか?
「エレン、ごめん。
ちょっと書類が溜まっちゃってて、しばらくは執務室に泊まり込みで仕事すると思う。
自分の部屋でも、私の部屋でも、どっちで過ごしても良いからね」
「え、帰って来ないんですか」
「うん、ちょっと帰れないかな」
「そう...ですか。
分かりました、お仕事頑張ってください」
キョウカさんが傷ついてる様子は、表情や態度からは見てとれねぇ。
考え過ぎか?
「エレン!
仕事行くところ?あたしも行くの。
一緒に行かないかしら」
後ろから腕を組まれる。
「リザさっ...」
「ほら、早く行こ?
エレンの腕って逞しいね、鍛えてるの?」
腕を引かれる。
まだキョウカさんに行ってらっしゃいって言えてねぇのに...!
こっちを見つめるキョウカさんの目が、一瞬だけ悲しそうに見えた。