第11章 噂の行方
お昼を過ぎ、遅めのメシを食べる為に食堂に向かった。
食堂はいつもより空いてて座るところに困らなかった。
「ここ、良いかしら」
「え?
あ、どうぞ」
座るとこはまだ空いてるのに、なんでわざわざ隣に来るんだ?
「エレンってあの人のこと好きなんでしょ」
「はい?」
あの人って言われても分かんねぇよ。
「キョウカ分隊長。
あの人のこと狙ってるならやめた方が良いと思うわよ」
「なんでそんなこと言うんですか?」
あなたがキョウカさんの何を知ってるって言うんだ。
「あたしはエレンの為を思って言ってるの」
メシを食う手が止まる。
俺の為?
「あの人、人のものを盗るのが好きなの。
みーんなあの人に夢中になるの。
顔が綺麗な訳でもない、スタイルが良い訳でもない。
結局はその分隊長っていう大層な肩書きが魅力的に魅せてんでしょ」
なんだ...ここ人。
口を開けばキョウカさんの悪口ばかり。
「ねぇ、エレン。
あたしにしない?
あたしならあなたを満足させてあげることが出来るわ。
心も身体もあなたに尽くしてあげる」
顔を覗き込まれ、指先で唇を撫でられる。
正直悪寒がした。
キョウカさんなら大歓迎だ、でも...。
「俺はどうしようもなくキョウカさんに惚れてるんで、あなたには興味ないです」
俺が好きなのはキョウカさんだけだ。
「...そう、連れないのね。
あたしはリザよ、リザ・ロースター。
よろしくね」
そう笑うと食堂をあとにした。