第9章 団員名簿
「これはミルク。
紅茶に淹れて飲んでも美味しいの。
砂糖とはまた違った優しい甘さが出てね。
あ、飲んでみる?」
「良いんですか?」
説明を聞いて興味が湧いた。
「もちろん。
こっちがエレンのカップだよね?」
すでにカップに注がれた紅茶に、ミルクを1杯入れるキョウカさん。
砂糖の入ってるカップと、入ってないカップを一瞬で見分けた。
ミルクが注がれ、赤く透き通るような紅茶に、白い模様が浮かび上がる。
それをかき混ぜると、ミルクティー色へと変化した。
「凄ぇ...!」
「エレンは感情が表情に出やすいね」
クスクスと笑う。
...なんか恥ずかしい。
「...単純って言われてるみたいで複雑です」
「そうかな?
良いことだと思うよ。
私は嫌いじゃないよ、エレンの分かりやすいところ」
はっきり分かりやすいって言われた...。
でも嫌いじゃねぇってことは、それはつまり少しは希望があるってことだよな。
そう思って良いんだよな?
「紅茶、ありがとうね。
後半も頑張るから好きに過ごしてて良いよ。
あんまり暇つぶしになるような物はないけどね」
「はい」
カップを片手に机に戻って行く。
朝よりは全然書類の量は減ったけど、まだそれなりにあるな。
いつもこんなに1人でやってるのか?
「何か俺に手伝えることありますか?」
俺じゃ大して役に立たねぇかもだけど。
「大丈夫、ありがとう」