第9章 団員名簿
「...エレンのバカ、狡い」
拗ねたように顔を逸らす。
「振りほどかないってことは嫌じゃないってことで良いんですよね?」
コクリと小さく頷く。
「おい、お前ら。
イチャつきてェなら他所でやれ」
「「い、イチャついてません!」」
キョウカさんと見事に声が重なった。
「さっさとしねェと時間がなくなるだろうが。
時間は有限なんだ、賢く使え」
「はいはい、リヴァイのケチ。
せっかち」
プクリと頬を膨らませた。
「どの口がものを言うんだ?
仕事が山積みだろ。
それを今日中に終わらせたてェから俺らに頼んだんじゃねェのか?
なぁ、キョウ」
その頬を指で挟み、持ち上げる兵長。
キョウカさんと兵長の身長は少し兵長の方が高いくらいで、あんまり変わらねぇ。
よって顔が近くなる。
「今なら、一言だけ受け付けてやろう。
何か俺に言うことはあるか?」
これは暗に謝れということだろうか。
「ない」
「ほぅ...」
兵長の目が怪しく輝いた。
何をする気だ?
よく分かんねぇけど、一瞬背筋がゾクリとした。
恐怖とかそんなんじゃなくて、なんか嫌な予感...的な感じの。
「っんん」
「なっ...!?」
目を疑った。
何...してんすか、兵長。
頬を掴んでいた手は後頭部に回され、瞬く間もなく噛みつくようなキスをされていた。
この時から、ある噂が流れ始めた。
兵長とキョウカさんが恋仲である、と。