第1章 好きです。
「エレンは図書館行ったことある?」
「いえ、ないです」
“ エレン ”
名前を呼ばれただけで、身体が熱くなる。
キョウカさんが相手だとこうも違うのか。
「そっか。
まぁ、入団して間もないから仕方ないか。
兵舎の案内とかはして貰った?」
「いえ、それも...。
リヴァイ兵長の執務室と、私室、あとは地下室だけで」
それ以外は案内して貰ってない。
「そう。
でもリヴァイが私室を教えるなんて珍しいね。
あ、そうだ。
この機会に私で良ければ案内しよっか?」
キョウカさんの提案に、目が輝く。
「良いんですか?」
「リヴァイの書類が終わるまで時間あるし、全然構わないよ」
「ありがとうございます!」
バッと頭を下げる。
「大袈裟だよ。
エレンってなんか忠犬みたいな感じするね、可愛い」
クスクスと笑うキョウカさん。
本当に可愛いのはあなたの方です...!
普段は嬉しくない言葉でも、キョウカさんの言葉なら受け入れられる。
「まずは図書館に行こ?
そのあと案内してあげる」
「はい!」
しばらく歩くと、キョウカさんが脚を止めた。
「ここが図書館。
巨人の本でも、外界の本でも、比較的なんでも揃ってるの。
何か読みたい本とかある?」
「特には...」
読書には興味がない。
でもアルミンを連れて来たら喜びそうだ、と思った。