第1章 好きです。
「ありがとう。
エレンくん、もし良かったら一緒に行かない?
興味なかったら断っても良いんだけど」
「行きます!」
「ありがとう。
じゃあリヴァイ、行って来るね」
「あぁ」
兵長の執務室から出て、キョウカさんの後ろを歩く。
実際、図書館の場所なんて知らねェ。
いつも兵長の近くに居なきゃいけないから。
「ねぇ、エレンくん。
隣に来てくれたりしない?
少し、寂しい」
「良いんですか...?」
「もちろん」
「行きます!」
肩を並べて歩いている途中、チラチラとキョウカさんの顔を盗み見る。
可愛いなぁ...。
「あの、キョウカさん」
「んー?」
「俺も、リヴァイ兵長みたく呼び捨てで呼んで貰えませんか?」
「呼び捨て?
良いの?」
「もちろんです!」
あなたになら呼ばれても良い。
むしろ呼んで欲しい。
キョウカさんに名前を覚えて貰っただけでも進歩なのに、どんどん欲が出て来る。
「キョウカさん、キョウってなんですか?
兵長がそう呼んでましたけど」
もっとあなたのことが知りたい。
教えてください。
「それはまぁ、私のニックネームかな。
リヴァイだけしか呼んでないんだけどね」
また、リヴァイ兵長。
この人の中にはどれだけ兵長が居るんだ。
改めて自覚した遠い道のり。
でも諦めたりなんかするもんか。