第8章 権力者
兵長とキョウカさんの模擬戦が始まる。
兵長が敵役だ。
超硬質ブレードを両手に持っている兵長に対し、キョウカさんは素手だ。
何も武器を持ってねぇ。
「いくぞ」
「ええ」
兵長が一声掛けて、模擬戦が始まる。
おいおい、大丈夫なのか?
あの超硬質ブレード本物だろ?
当たったら怪我すんじゃねぇか?
兵長の超硬質ブレードに触れず、その腕を捌くキョウカさん。
凄ぇ...。
最終的にはその両手の超硬質ブレードを弾き飛ばし、兵長の身体を地面に押さえつけた。
「とりあえず相手の獲物を弾き飛ばして捕らえれば終わりだ。
お前らは怪我しかねねェからな。
全員、今から配布する獲物を使え」
服についた砂を払いながら告げる兵長。
キョウカさんからゴム製のブレードを受け取る。
組み合わせを兵長が決め、訓練が始まった。
新兵だけの訓練の為、人数はちょうど10人。
男6、女4。
兵長は前から座って見ていて、キョウカさんは歩いて様子を見る。
そして時折アドバイスをくれる。
訓練を終える頃には全員息を荒らげていた。
「今日はここまでだ。
全員、風呂入って綺麗にしてから戻れ」
「もし身体に不調があったら言ってね」
言うことが2人らしい。
ゾロゾロと皆が戻る中、キョウカさんに手招きされた。
「どうしました?」
「こっち見すぎ、ちゃんと集中しないと怪我するよ」
コツン、と頭に拳が当たった。
「すいません...」
バレてた。