第8章 権力者
料理を食べ終え、一息ついた。
「美味しかった」
ニコニコと笑うキョウカさん。
「あぁ」
食事中、キョウカさんが兵長に料理を差し出してたのにはヒヤヒヤした。
スプーンに乗せて差し出してたから、間接キスになる訳で...しかもあーんで。
兵長って潔癖なんじゃなかったんですか!?
慌て過ぎてむせたのは内緒。
「じゃあそろそろ行こっか」
と席を立ち、伝票に手を伸ばすキョウカさん。
俺の給料じゃ全然だけど、なんか奢って貰ってばっかなのもな...。
と思っていると、キョウカさんの後ろから手が伸びて来てその伝票を先に奪った。
「あ...」
「時間が勿体ねェ、さっさとしろ」
リヴァイ兵長だ。
兵長が伝票を持ち、前を歩く。
「リヴァイってば、相変わらず優しい」
と、兵長の頭を撫でた。
...ちょっと妬く。
そのポジションは俺だけで良い。
会計を済ませて店を出た。
「ありがとう、リヴァイ。
ご馳走様」
結局兵長が全て出してくれた。
「俺は訓練に向けて先に行く。
お前らも遅れるなよ」
「はーい」
「はい」
なんか、兵長が1番のライバルに思えて来た。
そりゃ恋人もだけど...その人を除くと兵長が1番キョウカさんの隣に居る。
「なんだかんだ言っても奢ってくれるのがリヴァイなの」
やめろ。
兵長は兵士として尊敬してるけど、キョウカさんの口から兵長の名前が出る度に胸がムカムカする。