第8章 権力者
「終わった。
じゃあ行こっか」
「はい」
キョウカさんと並んで兵長の執務室に向かった。
「入れ」
今日は兵長自ら扉を開けることはなかった。
「来たか」
「ええ。
どうかしたの?」
「今日の午後の訓練、出てみねェか?」
「午後?
なんの訓練?」
エレン茶を出せ、と兵長に言われ慌てて給湯室に向かう。
「お待たせしました」
「あぁ」
「ありがとう」
互いに紅茶を口に運ぶ。
「午後の訓練は体術訓練。
対巨人じゃなく、対人間訓練だ。
俺よりお前の方が得意だろ?」
「そんなことはないと思うけど...」
キョウカさんって体術が得意なのか?
2人の話に耳を傾ける。
「でもどうして急に?」
「今年の新兵に才能がある奴が居るんだと」
「え?うん」
それってミカサのことか?
「今居る指導者じゃ手に負えねェんだとよ」
「技術的指導が出来ないってこと?」
「そういうことだ。
頼まれろ」
「...分かった。
言っておくけど、多分昔程動けないからね?」
「よく言うよ」
と、苦い顔をした兵長。
昔なんかあったのか?
「キョウカさんって昔兵長の教育係だったんですよね?」
「おい、てめェ。
それ誰から聞いた」
「え?ハンジさんですけど...」
なんかこれ、前も見たことあるぞ。
「チッ......殺す」
「やめてください!」
物騒過ぎるだろ。