第8章 権力者
が、寝れねぇ。
昂る熱が俺の睡眠を邪魔する。
キョウカさんはがっちりと俺の腕を掴み、寝ている。
となるとキョウカさんを抱くことも出来ねぇし、1人で抜こうにも腕を掴まれてて動けねぇから無理だ。
やべぇな...。
行き場を失った熱が思考を邪魔する。
もう1度キョウカさんの頭を撫でると、深い息をゆっくりと吐き出して目を瞑った。
朝、目を覚ますと隣にキョウカさんが眠ってる。
珍しく俺の方が先に起きたな。
起こさないように気をつけながら髪を撫でる。
「...おはよう」
しばらく経った後、キョウカさんの目がうっすらと開いた。
「おはようございます。
昨日はよく寝れましたか?」
「...うん」
どの問にもワンテンポ遅れて返信が来る。
「沢山寝ちゃったかも」
と、眠いのか目を擦りながら言う。
「紅茶飲みますか?
飲むなら淹れますけど」
「ダメ。
あとでで良いから、もう少しだけ隣に居て」
キョウカさんは温もりが欲しいだけ、温もりが欲しいだけ。
そう思ってないと、急速に自身に熱が集まってしまう。
「暖かいと落ち着きますか?」
「うん、落ち着く...。
ってごめん、これじゃあエレンが何も出来ないよね」
パッと腕を離した。
「大丈夫ですよ。
手、嬉しかったです」
思ったことをそのまま伝えると、みるみる内にキョウカさんの頬がほんのりと色づく。