第8章 権力者
「やっと、自然に笑いましたね。
やっぱりそっちの笑顔の方が好きです」
「そう...?
ありがとう」
照れたように頬を掻き、また笑った。
「ねぇ、エレン」
「はい?」
またキョウカさんの表情が陰りを帯びた。
「リヴァイには許可を取っておくから、このままちょっと昔話を聞いてくれない?
私が眠くなるまでの間」
キョウカさんの昔話...。
気になる...。
キョウカさんが今までどんな生活を送って来たのか、知りてぇ。
当然恋人の話も出て来るだろうが。
「お付き合いします!」
「ありがとう。
少しリヴァイに話をしてくるね。
部屋で待っててくれる?」
「はい」
キョウカさんが部屋を出て行く。
「許可貰って来たよ。
それじゃあ、話しよっか。
あ、その前に紅茶淹れるね」
少しして部屋に戻って来たキョウカさんの表情が、いつも通りの優しい顔になっていた。
元気になったようで良かった...。
「はい、エレン」
「ありがとうございます」
「なんの話からしよっか?
あんまり自分の話したことないから慣れなくって。
自分から言い出したのにね」
と、苦笑する。
そんな顔も可愛い。
「キョウカさんが調査兵団に入った時の話を聞きたいです」
こんな機会滅多にねぇんだ。
少しぐらいワガママ言っても問題ねぇだろ。