第1章 3年目
「はい。取れましたよ」
「ありがとう!」
ガチャ――
「資料取ってきましたー」
と小湊が柚木に渡す
「お!2人ともありがとねー」
「そーいや、さっき副社長が真琴ちゃんのこと探してたよー」
と桜木から聞くと
「え?私なにかしましたかね…」
副社長の名前を聞くなりゾッとした
(クビ…とかじゃ)
などと考える
「と、とりあえず…いっ、てきます」
そう震える足で副社長室へと向かう
コンコンコン――
「し、失礼します」
とドアを開ける中に入る
「来たね!」
笑顔で迎える久遠
「あ、私…」
「明日の夜って空いてるかな?」
「え?あ、明日ですか?」
「もし空いてないならいいんだけど」
「いえ、空いてます!」
「じゃあ、明日にしようか」
と話を進めていく久遠についていけていない真琴
「え?…どこにですか?」
「前に言ったろ?企画が通ったお祝い!君が頑張ったんだろ?」
「あ!すいません!私、すっかり…」
「あはは、いいよ。君と祝えたらいいんだから」
「ありがとうございます!」
「いいんだよ。君、プレゼン頑張ってたみたいだしね」
今回の企画が真琴の提案であったということを祝うため以前約束をしていた
「じゃ、明日の7時でどうかな?」
「はい!お願いします」
「俺の車でちゃんとお家まで送るよ」
「え?そんな…電車で!」
「お祝いだろ?それに夜は心配だから送らせて」
「あ…すいません、そんな送っていただくなんて」
と申しわけなさそうに言う真琴
「男として当然のことだよ。気にしないで」
「すいません」
「じゃ、明日頼むよ」
「はい!失礼します」
と副社長室からオフィスへと戻る