第4章 嫉妬と誘惑
後日―――――
「じゃ白石ちゃん!副社長によろしくね」
柚木に書類を渡され副社長室へ向かう
コンコンコン――――
「失礼します。白石です」
「どうぞ」
中から声が聞こえ入る
「書類を持ってまいりましたので確認お願いします」
「はい。」
この日、副社長室に居たのは伊織だけだった
「白石さん」
「はい」
「ここ、少し訂正願えます?」
「…申し訳ないです」
少しの間また沈黙が続く
「そーいえば最近、仕事おわりに来なくなったわね。柚木さんは来るけど」
わざとらしく言う伊織
「そうですか。」
「へー、もう改心したわけ?邪魔しちゃいけないものね」
「別に」
「は?…いい加減にしなさいよ。何度も言ってるわよね?あなたが邪魔って!」
「でもそれ、伊織さんが言ってるだけですよね?」
「…はぁ?、そんなの関係ないじゃない!」
「じゃあ柚木さんが副社長のことどう思ってるかも伊織さんには関係ないですよね?」
「それは…」
今までスラスラと返していた伊織の口が止まる
「副社長が誰を好もうが秘書のあなたには何が関係するんですか?」
「……」
「私の事が気に食わないだけでしょ…本当は副社長のこと好きなくせに。」
「は?…なんなのよ!」
「素直になったらどうですか」
「っ…!」
「伊織さん。私は副社長のことが好きです。」
「だ、だから…」
「伊織さんも好きなら、私と正々堂々と勝負してくださいね」
「え…?」
「では、失礼しました」
真琴はオフィスへ帰る
その途中で久遠に出くわす
「お!真琴ちゃん」
「こんにちは。」
「書類見てもらった?」
「はい」
「あ、また食事行こうよ。今度こそ居酒屋ね?」
「ぜひ、お願いします!」
にこやかに真琴は返し去っていく