第4章 嫉妬と誘惑
「少し、き…聞きたいことが!」
「ん?」
徐々に真琴の頬は赤くなる
「噂に聞いたのですが…」
「うんうん」
「久遠さんと…つ、付き合っていたのは本当ですか?」
「あーそれねー」
「す、すいません…変なことを…」
慌てて顔をしたに向ける真琴
「いやいや、本当よ」
「え?…」
「でも、過去の話でしょ?今はただの同期なだけ」
「同期…」
「なに?最近副社長室によく行くから?あれは重要書類を渡しに行ったりしてたの!」
「そ、そうなんですか!」
「安心しなさいよ!私は別にあの人に未練はないし、今更何かあったら殴ってるわよ」
と笑いながら言う柚木
「な、殴る?!」
「まぁ…昔は付き合ってたよ?秘書の時代もあるし…」
「秘書…ですか?」
「付き合ってた時はね。でも、私には合わなくてねー2年でやめて、ついでに別れたわ」
「そうなんですか…?」
「うん。最初は新しいことに挑戦しようと思ってたんだけどね、やっていくうちにあの人とは近くても私が望む仕事の形とは遠くてね…」
そう懐かしそうに語る柚木
「気づいたらこの部署立ち上げてたわ。秘書してたらあの日のことまで嫌になって…後で謝ったけどこれ以上は良くないって言って別れたの」
「それがきっかけなんですね」
「まぁね。仕事が楽しくなくっちゃこれから先も楽しくないって思ったのよ。これなら頑張れるって思えなきゃね?」
「そうですよね…仕事は大切ですもんね」
「そうよ!好きな人と居たいだけじゃ意味無いのよ」
仕事に全てをかける柚木の姿に誰もがついていきたくなるのは納得だった
「すいません…過去のお話を」
「いいのよ。今になればただの笑い話よ」
そう言いビールをグビっと飲み干す柚木
「うぁ…ただいまー…足立が戻りましたぁー」
呑気にトイレから帰ってくる足立
「もー、あんたってば本当に酒に弱いよね」
後から顔をムスッとした桜木がやってくる
「大丈夫ですか…足立さん…」
心配そうに続いてきた小湊
この後継を見つめる柚木は誰よりも楽しく見守っていた