第4章 嫉妬と誘惑
「ちょっと副社長室行ってくるねー。あとよろしく!」
と言い柚木がオフィスを出た
真琴にいつも任せるはずの仕事を柚木自ら行くとなると不安になる
「す、すいません。資料室行ってきます」
慌てて真琴もオフィスから出て副社長室の方へ向かう
すると副社長室へ入る柚木が見えた
「どーもー。久しぶり…」
と聞こえその後は扉が閉まり聞こえなくなった
少しずつ副社長室の方へと近づいて行く
「何か用かしら?」
と不敵な笑みを浮かべた伊織が後からくる
「っ…!」
「あら、そんなに驚かなくても。そんなにいつもの仕事がもらえなくて不安なの?」
痛いところを突かれ何も言えなくなる
「副社長と柚木さんの邪魔はしない方がいいわよ?」
「え?…」
「あなたにいいこと教えてあげるわ」
真琴の耳元まで近づく伊織
「副社長と柚木さん、2年前まで付き合っていたのよ。それも副社長が柚木さんをわざわざ秘書にするほどラブラブだったの」
伊織の言葉に自然と目が大きく開くほどの衝撃を受ける
「どう?今でも仲いいのはそれが理由かもね?それに柚木さんが許嫁っていう噂もあるの。だからあなたが邪魔ってこと分かるかしら?」
「………っ」
何も言えない真琴
「残念だけど副社長は諦めなさい。まぁせいぜいあの後輩くらいにしとけば?あ、でもあの子も顔がいいからあなたよりも美人な人に取られるかもねー」
嫌味をこれでもかというほど浴びせられその場からすぐに逃げ出したい、思い切り泣いてしまいたいと思った真琴
「…そうですね。私には似合わない世界ですから。」
と礼をし、オフィスへ戻る