第1章 黄色さん
エレベーターが地下の駐車場へと
到着する。
今日は車で出勤した。
満員電車でケーキが潰されたら
嫌だったから…。
携帯をチェックする。
二宮さんからの返事も、
折り返しの電話もなかった。
「…そういうことか…。
振られちゃったかな。」
諦めモードで車に乗り込む。
すると、電話が鳴った。
ディスプレイには
《二宮さん》の文字。
「もしもし。」
二宮『ちゃん?』
「そうですよ!
間違い電話ですか?笑」
二宮『今どこ?』
「駐車場で車の中です。
二宮さんは?」
二宮『それは奇遇ですね。
私も駐車場です。今から
そっち行きます。』
電話が切られるとすぐに、
フロントガラスを
ノックする音が聞こえた。
「にの、みやさん!!」
二宮「どうも。さみぃ。」
そして助手席に周り、
なんの躊躇もなく乗り込んできた。
二宮「ケーキ、食べよっかな。」
「え?」
二宮「お腹空いたんだもん。
いただきます。」
そして箱を開けて食べ始めた。
我ながら、ハート形って
かなり恥ずかしい。