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踊り子【気象系BL】

第7章 Fate…


「六百万か…」

そう言ったきり、智は口を噤んでしまった。

軽蔑…したよね、きっと…

当然だよね、六百万って言ったら、端金では済まない金額だもん。

嫌われたって仕方ないよね。

「ごめんね、変な話聞かせちゃって…。でも心配しないで? 俺、何とかするから。もう智にこんな思いさせないようにするから…」

「何とか、って…。宛でもあんのかよ…」

宛なんてないし、解決策だってない。

でもこのまま逃げ回っていたって、結局何も解決なんてしない。

だったら俺が…

「なぁ、その金…俺が何とかするって言ったら、お前どうする?」

「な、何言ってんの? 駄目だよそんなの。絶対駄目!」

どんな理由があったにせよ、全ては自分の身から出た錆、無関係のこれ以上智に迷惑かけられない。

「でもよ、ニノ…。その金さえ返せば、お前自由になれんだろ? だったら…」

そうなのかもしれない。

借りた金さえ返してしまえば、もしかしたら俺は自由になれるのかもしれない。

アイツらに鬱陶しく付き纏われることも、多分無くなると思う。

でも…、でもっ…

「やっぱり駄目だよ…。智にそんな迷惑かけられない。それに大体そんな大金どうやって…」

いくら売れっ子のダンサーとは言え、所詮はストリッパー。

そんな身入りのいい仕事でもない。

六百万なんて大金、智が持ってるなんて、到底思えなかった。

「全額…は無理かもしんねぇけど、半分くらいなら何とかなるから」

「智…どうして…? どうして俺なんかのために…」

「うーん…、だって俺ら“友達”だろ?」

智のそのたった一言が嬉しくて、俺の頭の上に乗せられた智の手が、とっても暖かくて…

知らず知らずのうちに流れだした涙に、俺はしゃくり上げるように泣いた。


ごめんね、智…
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