第29章 Another dancer…【Extra edition】
テレビや雑誌なんかでは目にしたことがあったけど…、実際目の当たりななすると…、なんとなーく一種異様な雰囲気があって…
内心、はしゃぎまくってる自分をひた隠しに、俺はパッと目に入った部屋のボタンを押した。
「相葉さん、それ…」
「ん…?」
「一番高い部屋だけど…いいの?」
言われて俺は手に持ったカードキーと、いくつか並ぶ部屋のパネル写真とを交互に見た。
五、五万っ!?
休憩だけなのに?
なんなら、普通のホテルの方が安くないか?
とは言え、恋人(ニノ)の手前、ちょっとでも見栄を張りたい俺は、
「えっと…、うん、大丈夫。行こうか?」
頭の中に財布の中身を想像しながら、ニノの肩を抱いた。
二人で並んでエレベーターに乗り込み、最上階まで昇る。
最上階には、どうやらその一室しかないらしく、俺はエレベーターを降りてすぐのドアに、カードキーを差し込んだ。
「入って?」
「相葉さんが先にはいんなよ…」
「いや、ニノが先に入って?」
この場合(が、どの場合かは分からないけど…)レディーファーストを適用するのが、一応ジェントルメーンってやつだからね。
「分かった…、じゃあ…」
お邪魔します…、なんて可愛く頭を下げてから、漸く部屋に足を踏み入れたニノ。
「うわ…、凄いよ、ねぇ、相葉さん、この部屋凄い!」
すぐに聞こえて来たのは、珍しくテンション高めのニノの声で…
「なになに、どうしたの? …うわっ…
後に着いて部屋に入った俺は、不意に伸びて来た手に腕を捕まれ、前につんのめりそうになる。
「見て見て、スライダー付きのプールまであるんだよ? 凄くない?」
「ほんと…だ…、凄いな、この部屋(笑)」
入った瞬間から分かる、テーマパークさながらの内装に、俺のテンションはマックスまで一気に駆け上がった。
「ね、ね、ニノ、泳ごっか!」
「は、はあ? やだよ、水着もないのに…。それに休憩しにきたんでしょ? 遊びに来たわけじゃないんだから…」
ニノのごもっともな意見に、俺は思わず頭をポリッと掻いた。