第4章 Asymmetrical…
ヤニ臭い支配人室のソファーに下ろされ、翔がどこかに内線を入れる。
「悪ぃ、メイク落としと、あと智の着替え一式持って来てくれかねぇか…」
「は〜い、りょ〜かい♪」
答えたのは多分…いや、絶対健だ。
場末のゲイバーでダンサーをしているところを、たまたま客として行った翔が見初め、引き抜いて来た…所謂ニューハーフ…しかも竿付きだ。
人当たりも良くて、客足来も上手いから、何気に固定ファンも多かったりするんだけど…俺はあんまり好きじゃない、って言い方おかしいけど、翔にベタベタし過ぎるのはどうかと思う。
って、これじゃ醜い女の嫉妬みたいだな…
「別にいいだろ、このままでも…。早くくれよ…」
もう待ちきれないんだ…
火照った身体の奥が疼いて仕方ねぇんだよ…
それは多分翔も同じ。
ピッチリと着込んだスラックスの前の部分を、しっかりと主張したモノが山張っちまってんじゃねぇか…
「なあ、いいだろ?」
翔が絶対に色仕掛けに乗らないことを知りながらも、自分の中に湧き上がった欲望をどうにかしたくて、片足をソファーの背凭れに引っ掛け強請る。
でもとことん堅物なコイツは、着ていたジャケットを脱ぐと、露になった俺の下半身に投げかけた。
「悪いが俺は商品の智を抱くつもりはねぇ。俺が抱きたいのは、あくまで素の“大野智”だけなんでね。抱いて欲しけりゃ、化粧落としてからにしろ」
そう言うと、ヤニ臭い支配人室の中でも唯一“らしく”見えるエグゼクティブチェアに腰を下ろし、タバコに火を付けた。
分かってるよ、俺だって…
でもだったら、なんでニノのデカチン咥えた俺を見て、おっ勃ててんだよ…
意味わかんねぇ…