第4章 Asymmetrical…

凡そ二十分間のステージが終え、若干の不満を抱えながら舞台袖に捌けた俺は、そこで待ち構えていた翔にしなだれかかった。

｢アイツ…、もう二度と一緒にはやんねぇ…｣

どんな理由があろうとも、ニノとだけはもう二度と…

｢くくく、中々面白いステージだと思ったけどな？｣

アンコールだかなんだか分かんねぇ歓声が湧き上がる客席を横目でチラリと見て、翔が満足そうに笑う。

つか、翔…、お前…

いくら商品とは言え、自分の恋人が他人のデカチン咥えさせられたってのに、

｢おっ勃ててんじゃねぇよ…｣

｢仕方ないだろ？ お前のあんな顔見せられて、普通じゃいられっかよ…｣

翔の濡れた唇が俺のそれに重なり、拒む間もなく俺の身体が宙に浮いた。

｢ニノ、悪いがもう少し客の相手してやってくんねぇか？ 智、まだ熱あるみたいだから、向こうで休ませるわ｣

｢えっ、ちょっと…、俺大丈夫…｣

｢うっせー、まだ熱あんだろ？ 大人しく俺の言うこと聞け、冷ましてやっから…｣

しっとりと汗ばんだ首筋を、ザラリとした舌先が舐め上げる。

コイツ…まさか…

｢ＯＫ、後は任せてごゆっくり｣

俺よりも先に翔の意図を察したニノが、濃いアイメイクが施された瞼をバチッと閉じる。

くっそ…、そういうことかよ…

尤も…

アンだけニノにいいようにされちゃ、流石の俺も限界なんだけどな…

俺は仕方なく翔の首に腕を回すと、まるで子猫のように身体を翔に擦り寄せた。

そう大して広くない胸は、それでも俺をスッポリと包み込む。

心地好い疲労感と、発熱から来る倦怠感からか、つい睡魔に身を委ねたくなる。

それくらい…、翔の腕の中は居心地が良かった。