第22章 Not Believe…
思った通り…というか、近藤は俺が話を終えるよりも前に、
「分かった」
智のことは俺が何とかするから任せろ、と言った。
そして自分が智を連れ出している間に、智が所持していると思われる薬を見つけ出し、それを処分するように、と…
何よりも、中毒と言うよりは、薬に依存している可能性が高いと言う判断から、智から薬を遠ざけることが先決だ、とも…
正直、薬物に関する知識もそれ程持ち合わせていないし、俺は近藤の指示に従うことにした。
やっぱり近藤に頼って良かった…、俺は心底そう思った。
尤も、今の俺には近藤を除いて頼れる人なんて、誰一人としていないんだけど…
もし仮に、翔さんや相葉さんに連絡が出来たとしても、あんな辞め方をしてしまった以上、どうしたって敷居の高さに尻込みしてしまう。
こんな時、翔さんだったらどうするんだろう…
近藤のように、自身の危険なんて省みることなく、ただ智を救いたい一心で行動を起こすんだろうか…
それに比べて俺は…
「それから、その客が君に何と言ったかは分からないが、君も出来ることなら、早々に今のオーナーとは手を切った方が、俺も良いと思うな…」
あの客といい、近藤といい、言うことは同じだ。
それが出来たらどんなに楽かもしれないけど…
「君に、どうしても手を切れない理由があるのなら、話は別だがね」
理由?
そんなもん、最初っからありはしない。
もし理由があるとしたら…
それは、俺が智の傍にいたいから…、なのかな。
勿論、俺と智の間に恋愛感情はないし、肉体関係だってない。
未遂は…なくはなかったけと…
でもそれだって、ステージ上の演出であって、そこには恋愛感情も性的欲求は存在しない。
あるのは、“大野智“という一人のダンサーへの憧れと、親友としての友情だけ。
智は、俺にとって唯一無二の存在だから…
それはこの先に何が起ころうと、変わりはしないし、変えるつもりもないし、俺が智の傍を離れることは、きっと…ない。
だから、智があのオーナーの元にいる限り、俺も今の場所を離れるつもりはない…、というよりは、離れらんないよ…